フラッシュ家具という言葉を聞いたことありますか?今回は元はTV台だった天板を使って収納にリメイクしていきます。
フラッシュ家具とは
芯材と呼ばれる木材を枠組みして、表面に薄いベニヤ板を接着剤で張り合わせた板を使って作られた家具の事を言います。
なかにはコアという段ボールのような素材の紙が入っています。これは空洞の凹みを防ぐために入っているものです。
無垢材の家具と比べ安価に作り上げることができる他、板の中はほぼ空洞なので軽いのが特徴です。
どうやって活用するの?
注目するのは芯材。
芯材は端だけではなく中間にも組み込まれています。この部分を利用して固定棚や引き出しといった加工をしていけば、立派な新しい家具の出来上がり。
図面
図面を書き出す前に芯材の位置を把握しなくてはいけません。
必要な道具、材料
道具
- スケール
- さしがね
- サンダー(なくてもOK)
- 丸ノコ 又はスライド丸ノコ
- インパクトドライバー
- トリマー(なくてもOK)
- ビス(コーススレッド)
- 木工用パテ
- ペーパー(#100、#180)
- ハケ
- 塗料用容器
材料
- フラッシュ家具
- コーススレッド
- 板材/棚板(100均 400×120×6=3)
- 板材MDF/扉(100均 300×400×6=2)
- 角材/棚板(100均 450×21×10=3)
- 桐材/扉(400×50×12=4/175×50×12=4)
- ツマミ(100均)
- 平蝶番
- 塗料(水性塗料)
作業開始
塗料落とし
まずは塗料を落としていくのですが、今回は水性塗料で塗りつぶす予定なので#180で塗料がしっかり乗るように荒らしていきます。サンダーがない場合は手でヤスってもOK。
この作業は重要で将来的に塗料が剥がれたりするのを防ぐ作業になります。
イメージはこんな感じです。ペーパーをかけると細かな傷ができて塗料が乗りやすく、さらにミッチャクロンなどのプライマーを塗るとさらに密着性が上がります。
材料のカット
図面をよく見て芯材の位置を確認しながら本体の部材をカットしていきます。
まずは半分にカット。
次に芯材を残して長さをカット。
組み立て
組み立てはビスを使います。コーススレッドで板の厚み×2以上の長さが必要ですが、芯材の幅がそんなになくビスが芯材を突き抜ける場合は芯材の幅に合わせた長さにしていきましょう。
皿取り錐を使って先に下穴を空けてコーススレッドを打ち込み凹んだ部分にパテ埋めをしていきます。
その前に、なぜビスを打ち込んだ部分はパテ埋めなのか。木ダボの埋め込みでもいいじゃないか!
理由は塗料にあります。今回は塗料で塗りつぶすので、木ダボだと小口面が表面に出てきてしまいます。そうすると板の部分と木ダボの部分で塗料の吸込みに違いが出てきて、いくら平らにしても木ダボが目立つことになってしまいます。何回も塗ればいつかは消えますが、2回塗りで済むところが3回、4回と回数が増えていってしまうためです。
では、下穴を空け終わったら組み立てです。
重要なのは直角!直角が命です!(この前テレビで言ってたw)
ほんとにその通りで直角が狂っていると、引き出しや扉がスムーズに可動しなくなります。
面材、テープ貼り
天板は面材(無垢材を加工したもの)を接着し、地板には小口テープを貼ります。
面材はトリマーで加工して作りました。
本体の寸法に合わせて45°にカット。留めで接着していきます。
地板には小口テープを貼ることに。見た目が家具らしくなってきた。
モールディング作り
モールディングって作れるんですよ。今回モールディングを使用する箇所は扉、簡単なので真似してみてください。
モールディング
材料はダイソーの工作用の板400×120×6を引き割って使います。
- 400×10=6本
- 400×6=6本
準備が出来たら面取りから行います。ここからは好きな形に面取りしてください。
すべての面取りが終われば、接着していきます。
ボンドで接着してマスキングテープなどで巻いて固定していきます。すべての固定が終われば並べてオモリを乗せてボンドが乾くのを待ちます。最後に研磨して形を整えれば完成です。
ボンドは濡れウエスなどでしっかり取り除く!塗装を弾いてしまう原因に!
扉作り
材料の大きさは決まった寸法よりも5㎜~10㎜大きくカットします。すべての部材を貼り付けてから扉をカットするためです。このやり方の方が小口面がきれいに仕上がります。
まずは材料の両脇に両面テープを貼っていきます。次に材料の中心にボンドをつけて貼り付けていきます。両面テープを貼ることによって固定され、あとはボンドが乾けばしっかり固定されます。
メリットはクランプを使わなくてもある程度密着されます。
今回はモールディングを付けるので上記の画像が裏面になります。
4方向付ける理由は扉に使っているMDF材の厚みが6㎜しかないので反り、ねじれを押さえて強度を上げるために付けます。
この方法は材料が反りや捻じれがない場合に使える方法です。反りがある場合はクランプなどで圧着しましょう。
あとは、本体に合わせて扉をカット。本体の内寸よりも高さが上部で2㎜、下部で2~3㎜の余裕が必要なので-4~5㎜、幅は中心で3~4㎜の隙間を作るのですが、蝶番側も1㎜程度隙間が空く想定で計算します。なので高さが-5、幅はマイナス2~3㎜(扉1枚)となります。
蝶番の掘り込み
蝶番はホームセンターでも売っている一般的な平蝶番にしました。
掘り込みの加工ですが、まずは蝶番の厚みを見てみます。写真の蝶番は5㎜あったので4㎜掘り込みます。
基本は蝶番の厚みよりも0.5~1㎜浅く掘り込みます。
蝶番の厚みよりも引っ込めた場合に扉が突っ張って最後まで締まらなくなるので注意が必要です。
掘り込みはマルノコ盤を使いました。少し恐怖を感じる器械ですが、正しく使えば安全にさまざまな加工ができるようになるのでおススメです。
蝶番の掘り込み(手加工)
手でやる場合は鋸やノミがあればできます。
まずは、彫り込む厚みのラインに印を付けていきます。
次に鋸で深く切り過ぎないように注意しながら切っていきます。
あとは、ラインに沿ってノミできれいに削れば加工の終了です。
あれば便利な道具 けひき
けひきは印を付けるだけではなく、材料が欠けてしまうのを防ぐ役目もあります。けひきについても別で記事を作ります。
モールディングの取り付け
墨付け
モールディングは45°にカットして取り付けます。多少ズレても問題ないので、扉に墨付けしてカットしていきます。
45°カット、取り付け
留め(45°)のカットと取り付けは3方向を墨付け通りにカット、接着して最後の1本を微調整して取り付けます。墨付けと45°の精度が良ければ隙間なく取り付けられます。
カットに慣れていない場合、1本ずつ墨付けに合わせながら1発で決めようとせずカットしていきます。最後の1本は残しておきましょう
45°のカットには鋸専用のガイドなどを使うことをおすすめしています。
1本目
2本目
3本目
4本目は3方向が決まってからカット、微調整しながら合わせていきます。
取り付けが終わればボンドをきれいに拭き取って留めの部分や扉の面を研磨仕上げすれば次の工程です。
固定棚の製作
固定棚に使った材料はすべて100均で揃えました。こちらもフラッシュ家具のように角材を並べて板材で挟み込んでいきます。接着にはボンドを使い、オモリを乗せて圧着して固定していきます。
正面になる面に板を付ければ立派な棚板の完成です。
もう一つのテクニックは、棚板に使った角材を本体にも取り付けてスライドさせれば、可動棚のような棚ダボの受け金具が必要なくすっきりとした見栄えになります。
脚の取り付け
脚には100均で見つけた、麺の生地作りに使うめん棒を使いました。
まずはカット。今回は少し角度を付けましたが、垂直でも問題ありません。
付け方については別記事で詳しく解説します(現在作成中)
塗装
今回の塗料はDCMのマルチペイント。早速塗りやすさチェック・・・
その前に
念のため塗料の接着不良を防ぐためにミッチャクロン(プライマー)を塗っていきます。
プライマーをしっかりと乾かしてから塗料を塗っていく。
塗料の容器は最近SNSで知った豆腐の容器を使っています。これがなかなか優れもの。今回使っているのは水性なので問題ないが、油性を使った場合に容器が変形しないか後日検証してみる。
このマルチペイントは水で薄めなくても伸びがよく塗りやすい。本当は1回塗りで終わる予定でしたが、下地がダーク色なので1回では収まらず2回塗り。あとは下地の塗料と密着してくれるのを祈るだけです。
完成・まとめ
各部材を取り付ければ完成です。
今回は塗料や接着剤の収納用に製作しました。しっかりと作り込めば捨てるはずだった家具もリメイクされ新しい姿に生まれ変わります。もう一度捨てる前に使えるのかどうか、しっかりと見極めて検討してほしい。